幽洞の備忘録

ゲームやって思ったことかく。

非絶級降臨キャラのこれからについて考える

さっとらです。

モンストの話。

 

10周年の新要素のひとつとして発表された、新高難易度・黎絶。その先鋒として先日フォーサーが初降臨しました。

運極5体が挑戦条件となった爆絶や、ラック10にならないと進化できない轟絶など、絶級の新難度は往々にして特殊な仕様があり、黎絶も例に漏れずこれまでにない特徴を持っています。ニュースで割と細かく言っていましたが、大まかに分けるとこの4つです。

  1. 「わくわくの実」「魂の紋章」「ミラクルミン」「かりモン」は無効
  2. 挑戦条件は轟絶1種以上のクリア
  3. ボスの進化形態は「真獣神化前」と「真獣神化」
  4. ボスのドロップは直泥と、連勝したときに貰える「連勝ボーナス」の宝箱からのみで、従来のクリア報酬からはドロップしない(直泥は確定ドロップ、連勝ボーナスは確率)

順番に見ていきます。まず①について、前者2つは挑戦させたいキャラを決めたら事前準備が必要ないことを意味します(使用回数によるHP上昇のみ)。実の厳選が必要なく、紋章力も7500まで上げなくていいので、初心者救済のようにも思えますが、②にある通り黎絶の挑戦には轟絶のクリアが必要で、かつ轟絶の挑戦には爆絶3種以上のクリアが必要なので、どちらかと言うと中級者救済でしょうか。

ラクルミン使用禁止は次の黎絶が降臨したとしても、ミラクルミンのゴリ押しでむりやり突破ができなくなることを意味します。クエスト自体の難易度が壊れない限り、時間が経っても運極難度と価値が下がらない訳ですね。これに関してはミラクルミン登場前は同じ状況だったので、昔に戻った印象です。

かりモンの無効はそのままです。この機能を使っている大多数は複数垢持ちだと思いますが、どうしてもメイン垢で適正キャラを入手できなかった際に、サブで当てて使うことができなくなりました。適正キャラを持っている人とのマルチプレイに頼ることになるので、BBQの促進に繋がりそうですが、実力のあるストライカーほど最適以外お断りの周回が主流になるので、ガチャを回しまくれる絶級周回勢と、仲間と楽しむ絶級周回勢の分断が深まる可能性もあります。最適キャラの設定とガチャの問題はデリケートなので、今回特に触れるつもりはありません。

②と③については書くことはないですね、②については前述しました。③は、爆絶が神化(超絶を素材としての)、轟絶が獣神化と来て、黎絶が(なぜか獣神化改を飛ばして)真獣神化と言う訳です。真獣神化はまだシステム自体実装から日が浅いので、しばらくは真獣神化キャラが手に入るというだけで難易度として盛り上がりそうです。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回ここで書くのが④についてです。なんか長々と書いてしまいましたが、要はこの新難易度クエストには運枠が必要ありません。コラボの常設クエストと同様に、ガチャ限4体で周回するのが最高効率ということです(勿論戦力的に不足がなければ運枠を入れても効率が落ちる訳ではありませんが)。またこれは降臨キャラの運枠に限った話ではなく、廃課金の象徴とも言えるガチャ限運極も、ここではラックスキルを除いてそこらのラック5ガチャ限と同じになります。

モンストはソシャゲである以上ゲームの終わりは無いのですが、このゲームのひとつの終わりとして永らく存在してきたのが「運極達成」でした。モンスターの運極達成は、即ちそのキャラクターを運枠として連れて行けるクエストへの周回参加の切符でもあり、終わりのないゲームの中で始まりと終わり両方を意味する区切りを意味しています。

新しい最高難易度クエストに運枠が必要なくなったことで、この使うという意味での運極・降臨キャラの役割が変わってきます。いえ、もしかしたら黎絶の登場以前から、箱1ガチャ限4周回やモンストの日実装あたりを経て少しずつ変わってきていて、今回はあくまでその結果なのかもしれません。そんな、ここ数年での変化する環境における降臨キャラ、特に使われる場面の少ない非絶級キャラクターについて、これまでの変遷とこれからについて簡単に書いていきます。モンストをある程度やっている人なら知ってる話しか出ないと思うので、最後だけ読んでも大丈夫です。ポルターガイスト要素は特にありません。

 

 

1.非絶級降臨キャラのこれまで

変わる前が分からないと変化についても分からないものですから、一応これまでの降臨キャラについても振り返ってみます。

 

黎明期から絶級ループの時代

モンスト初期は運極を持っているユーザー自体が少ない環境がしばらく続きました。今でこそ、サンドラやコラボ配布の運極キャラ、モンストの日の利用等で初めての運極入手のハードルは下がりましたが、2-3年くらいは初めての運極達成=初心者卒業を意味していた気がします。周回に運枠が必要なかったコラボの常設クエスト、13号機やサガットなんかは初運極入手のチャンスとして盛り上がりました。

この頃は運極を目指す周回においては運枠を入れるのはほぼ常識、のような感覚だったと思います。今回の趣旨からは外れますが、超絶・爆絶もこの時期は初勝利時のドロップ確定がなく、運極を目指さない、キャラの入手目的のクエスト攻略であっても難易度と睨み合いながら運枠を入れていました。「超絶ループ」という死語に表れているように「このキャラを運極にしたら、次はこことここの運極を目指せる」という道筋が広くストライカーの中で共有されていました(ポルターガイストを運極にできたら、次はポルターガイストを運枠としてクイバタやリリスの運極を作ることができる、という具合)。

また、初期はプレイ人口が爆発的に増加した結果、全ユーザーに対する初心者の割合が今より大きかったこともあり、運枠としてではなく攻略の手段として降臨キャラが使われる場面も今以上に多かったです。ラック1〜5くらいのクシナダがクエストのマルチ募集をしているところはよく見ましたし、なんなら魔王キラーのUボートや魔族キラーのイズナみたいな局所的に火力の出せる星4-5降臨キャラでも攻略目的で使用されました(獣神玉が今よりも貴重だったこともあります)。ガチャ運のないストライカーがヨルムンガンドやクイバタでイザナミの募集をかけている光景は記憶にある人も少なくないと思います。

ドラゾンビの登場やコラボ開催の増加により、運極を複数体持つストライカーは徐々に増えていきます。最高難易度として君臨していた難易度爆絶の挑戦条件が運極5体以上だったこともあり、この辺りからは少しずつ運極の敷居が下がっていきます。2周目爆絶の最初の3種は3すくみの関係でしたし、しばらく後に登場した1周目轟絶も同じ関係だったため、降臨で降臨を回る環境はしばらく続きます。

一方で、運極そのものが珍しくなくなってくると、「使わない運極」の存在も大きくなっていきます。最前線で運極を作り続けていたストライカーはずっと抱えていた問題でもあるのですが、性能の似通っている運極がいた場合は基本的に強い方しか使うことはありません。複数体運極を持っているストライカーが増えたことで、この問題に直面しているストライカーもまた増加しました。

 

モン日・ラキモンの登場

「モンストの日」とラッキーモンスター(ラキモン)の実装によって、この周回環境は大きく変化します。この2つは2019年4月の後半から登場したので、ちょうど元号が変わるタイミングでモンストも新時代に突入したと見ていいでしょう。

モンストの日まで待てばガチャ限4体で周回できるので、中途半端なモチベのストライカーたちは新イベントやコラボの降臨キャラを運枠入りで周回することが減りました。モンストの日にプレイできないクエストは追憶の書庫に入っていない、比較的新しい絶級クエストくらいです。

ラキモンの登場は、降臨キャラに対して良い影響も悪い影響もありました。まず、ラキモンを揃えていないだけで周回効率が大きく下がるので、ラキモン3種は周回参加の前提になりました。来週ラキモンを運極にすることは、一定以上のモチベがあるストライカーにとっては義務と化し、結果的に降臨キャラの周回募集が飛躍的に増加しました。モンスターの性能と関係なく、8種類(当時は5種類)のうち3体を運極にすれば恩恵を受けられるため、所謂「使わない運極」にも作る価値が生まれた画期的な施策と言えます(「使わない運極」になりがちな古いキャラほど、クエストが簡単なことも多いです)。

ラキモンの登場による降臨キャラへの負の影響としては、ガチャ限4体周回の増加があります。ラキモン3種による箱+1のボーナスは、参加キャラのラックによらず固定なので、3種作っているストライカーであれば、ガチャ限のラック5キャラであっても運90と同じ運用をすることができます(なんなら10%を外す可能性がない上、ラック数に応じてときどき2箱落とします)。そのため、ガチャ限4体でクエストをクリアしたとしても、全員がラキモンを揃えていればクリア報酬が+4個、ラキモン実装前の枠2周回と同じ効率になる訳です。ラキモン実装後、特に運枠を入れてのクリアが困難な爆絶・轟絶クエストの周回では、このガチャ限4体周回が増加しました。クリア報酬が枠2とあまり変わらないまま勝率を上げ、かつ1周にかかる時間も格段に短いため当然とも言えますね。

もうひとつ、この時期の特徴としては獣神化キャラを中心とした火力のインフレがあります。ソシャゲの中では比較的性能面でのインフレがおとなしいモンストですが、獣神化改の実装と超戦型・レベル120の登場以降は獣神化キャラとそれ以外の差が顕著に表れ始めました。以前も「クシナダ1体+クシナダを引っ張る適当な運枠3体」のような編成は存在しましたが、超砲撃型の登場によって、いよいよ非絶級降臨キャラに求められる性能としては「複数のアンチアビリティ+白爆発+貫通」が最適解という風潮が形成されます。

 

このように、令和以後のモンストは運極を作るための周回に、運枠が必ずしも必要ない時代を迎えたと言えます。黎絶・フォーサーの降臨も、この流れの延長線上にあるように思えます。

それでは、周回に必要ではなくなってしまった運枠、とりわけ戦力的にも厳しい非絶級降臨キャラたちはこれからどのような道を辿るのでしょうか。次の章ではこの点について予想半分願望半分で見てみます。

 

 

令和以降の運枠不要化の流れに抗っていた数少ない要素にコネクトスキル「合計ラックが100以上」があります。一部のキャラクター(アリスなど)のコネクト条件ではもう一つの条件と「または」ではなく「かつ」で繋がっているため、コネクトスキルの発動には運枠か、高ラックのガチャ限が不可欠でした。これは遠回しに運枠を入れた周回環境への回帰を誘導していたように思われましたが、結局真・獣神化でコネクトスキルそのものが廃止されてしまいました。コネクトスキル自体そもそも良い感想を聞かない要素でしたが、このアリスのコネクトスキルは特に評判が悪く、結局アリスとプルメリアのあとは追加されていません。

 

 

2.非絶級降臨キャラのこれから

黎絶は元より、モンストの日の登場や、ラキモンを使ったガチャ限4周回の台頭という現環境、そしてこれからの時代において、非絶級降臨キャラはどのような立ち位置に収まるのでしょうか。

モンスト運営の出した答えは現段階でも割と分かりやすく示されているように思います。運極達成をゴールとして再定義し、運極達成後に運枠として使うことよりも、運極を作ることそのものの比重を増やしているのです。この仮説に沿って、今後の降臨キャラについて考えてみます。

 

ラキモン

まずは「これまで」の項でも挙げた、ラキモンについて。前述した通り、3種揃えることが周回のスタートラインとなっているラキモンは、「運極を作る」ことがゴールであり、まさに使う運極から作る運極へのシフトを象徴しています。キャラの総数が増え、上方修正のペースも追いつかなくなっている現在、過去のあまり性能の良くない降臨キャラを運極にする最も多い理由はラキモンでしょう。コラボ第二弾の盛り上げにも一役買っていますし、今後もしばらくは降臨クエストの周回において中心の一つであり続けるはずです。

 

紋章力

周回のほか、覇者や禁忌、天魔といった攻略コンテンツでも有用な要素で、ラキモンと違って一度達成した成果が永続します。弱点強化極の獲得という明確なゴールがある点も特徴的です。書庫の泥率2倍イベントなどは紋章力を盛るチャンスとなり、非絶級降臨周回募集の一翼を担っていました。ゲームのやり込みが戦力として還元される一方で、初心者の周回参加を難しくさせていた賛否両論のシステムでしたが、黎絶の登場でついに最高難度からは退場の運びとなりました。超究極・封でも無効化されるなど、その効果の大きさと紋章力の格差が運営を悩ませているような気もします。かつてはソウルスキルの追加もありましたが最近はありません。

 

運極ボーナス

運極体数という分かりやすい指標に応じたボーナスです。目玉はマップクリアHP回復量の上昇で、これも紋章力と同じくやり込みが戦力として還元されている例になります。まとまった数のオーブが手に入るため、大きなガチャ開催の前後ではこれをモチベに降臨を回す人もいるようですが、現状さほど影響力はありません。最高報酬は運極数500ですが、これもオラコイン等のイベントを利用すれば一瞬です。

 

勲章と運極誇示について

運極を達成すると(というか星5以下だったとしてもラック上限になれば)手に入るものがもう一つ、それが勲章です。マルチプレイ参加時、プレイヤー名の横に特定のキャラのボール絵を表示できるほか、現状だと使い道は少ないですがストライカーカードに付けることもできます(5個まで)。地味な機能ではありますが、自分は割とここにこそ非絶級降臨キャラの可能性があるように感じます。

今のモンストでは、作ること自体に重きを置いたとしても一度運極を作ってしまえばその後はクエストに挑むことはありません。ガチャ限の神化合体がなくなった以上、せいぜい何年かに一度の書庫オーブリセットくらいでしょうか。絶級トーナメントにも出てこず、上方修正も基本一度きり、加えてこれまで見てきたように性能的に使う機会が急減している非絶級降臨キャラは、「過去のキャラ」と認識されるまでが特に早い傾向にあると言えます。

ここまでいいところなしにも思えますが、これらはあくまで性能面での話。モンストのキャラを構成する要素には他にも「イラスト」「ボイス」そして「キャラ設定」があります。言わばアイドル路線とでも言えるでしょうか、キャラ自体に魅力があれば、性能やら価値やら関係なく多くのストライカーが降臨キャラを入手し、さらに自分の愛を誇示するように運極を目指すはずです。自分の名前と称号のほか、1つのみ設定できる勲章は、これを後押ししてくれます(元を辿れば運極達成画面も、プレイヤーとモンスターとの関係をシェアしやすくしているため、最初からこの路線は存在していたのかもしれません)。

実際はというと、ディクショナリーへの追加ペースが上がったり、ニュース内での説明や桑原さんのポストなんかでモンスターの掘り下げがされているほか、最近はモンストシリーズと銘打ったモンストキャラが出てくる他のソシャゲでフィーチャーしたりもしています(どれも長続きしていませんが)。降臨キャラ自体は、激究極を中心に一般ウケしやすい見た目になったり、有名な声優を起用したりと人気が出そうな策を打ってはいるものの、見た目はヴィラン寄りで(たまにニッチな層に刺さっているのは見かけます)、ここ数年は大きな変化はないように見えます。まだまだ開拓の余地があると言えそうです。

 

ちなみに、この魅力的なキャラ設定をたくさん出して性能関係なく降臨を回らせる、という作戦を本当に取った場合、実は最適解は「オリキャラのイベントを減らしてコラボをし続ける」ことになってしまう可能性があります……。あれ、たしかに23年は毎月コラボがあったような……気のせいだよな……?

 

おわりに

なんか長々と振り返ることになってしまいましたのでそろそろまとめましょう。

モンストでは所謂キャラ性能のインフレがキャラ全体ではなく、進化形態全体にかかる傾向があるため、非絶級降臨キャラが性能面で日の目を浴びることはこれからさらに少なくなると思われます。

これに加えて、モンストの日やラキモンによるリザルトのボーナス、黎絶の登場により、そもそも降臨枠・運枠という概念自体が今後はいよいよ存在感を薄めていくでしょう。

これからの非絶級降臨キャラは、こうした逆風に対して、クエスト攻略・周回に編成する「使う」役割から、ラキモンや各種ボーナスを得るための「作る」だけの役割へとシフトしていく方向に向かいつつあります。その中で、より「作る」体験を充実させるためにも、もっとキャラとしての魅力に焦点を当ててもいいのでは……というのが本記事での個人的な意見というか感想、ということになります。

 

 

さて、フォーサー実装直後あたりからちまちま書いてきた記事でしたが、気づけば年末となってしまいました。皆さん今年もありがとうございます、良いお年を。

 

それでは。